「松阪牛と神戸牛、どっちが高いの?」と気になって検索している方も多いのではないでしょうか。日本が世界に誇るブランド牛だからこそ、どちらが一番高級なのか、あるいはどちらが美味しいのか、その違いを詳しく知りたいですよね。
実は値段の決まり方には少し複雑な仕組みがあり、一概にどちらが上とは言えない面白さがあります。この記事では、それぞれの特徴や平均的な値段の違い、そしてお得に楽しむためのふるさと納税の活用法まで、分かりやすく解説していきます。
- 最高額の実績では松阪牛が高いが平均価格は神戸牛が高値安定
- 松阪牛は「長期肥育」神戸牛は「厳しい数値基準」が価値の源泉
- 融点の低い松阪牛は口溶けが良く神戸牛は赤身とサシのバランスが秀逸
- ふるさと納税を利用することで高級ブランド牛を実質2,000円から楽しめる
松阪牛と神戸牛どっちが高いか徹底比較

まずは、皆さんが一番気になっている「価格」について、色々な角度から比較してみたいと思います。単純にステーキ肉の値段だけで比べるのではなく、セリでの落札額やブランドを守るための基準など、少し裏側の事情まで覗いてみると、それぞれの「高さ」の理由が見えてきますよ。
日本で1番高級な牛肉は?
「日本で一番高い牛肉はどっち?」と聞かれたら、ニュースなどで話題になる「一頭買い」の最高額においては、間違いなく松阪牛だと私は思います。
毎年開催される「松阪肉牛共進会」という品評会では、最優秀賞に選ばれた牛がとんでもない金額で落札されることがあるんです。なんと、過去には一頭で5,000万円を超える価格がついたこともあるんですよ。5,000万円といえば、地方なら立派な一軒家が建ってお釣りがくるレベルの金額ですよね。
これは単なる食肉としての価格というよりは、「最高級の松阪牛を競り落とした」という名誉や、生産者さんへのご祝儀価格という意味合いも強いイベント的な側面があります。落札した精肉店は「日本一の松阪牛を落札した店」としてニュースになりますし、それが大きな宣伝にもなるわけですね。
一方で、神戸牛ももちろん高値で取引されますが、ここまでの異常値が出ることは稀なんです。神戸牛はどちらかというと、全体的な品質のベースを高く保つことに重きを置いている印象があります。
ここがポイント
「天井知らずの最高値」という意味では、芸術品のような扱いを受けるトップクラスの松阪牛が日本一高いと言えるでしょう。
神戸牛はなぜ高いのですか?

では、神戸牛が松阪牛より安いのかというと、決してそんなことはありません。むしろ、市場全体に出回っているお肉の「平均価格」や「最低ラインの価格」で見ると、神戸牛の方が高い傾向にあります。
なぜかというと、神戸牛には「BMS(霜降りの度合い)No.6以上」という非常に厳しい数値基準があるからです。この基準をクリアできないと、どんなに大切に育てても「神戸牛」とは名乗れず、一段階下の「但馬牛」として出荷されます。
BMS No.6というハードルの高さ
BMS(Beef Marbling Standard)は12段階で評価されるのですが、No.6以上というのは、一般的な国産牛の平均を大きく上回るレベルです。つまり、神戸牛として売られている時点で、ある一定以上の高い品質(美しい霜降り)が約束されているわけです。
「ハズレがない」という安心感こそが、神戸牛のブランド価値を高値で安定させている大きな理由なんですね。世界中のバイヤーが指名買いするのも、この品質保証があるからこそです。
豆知識:厳しい認定基準
神戸牛(神戸ビーフ)の定義は非常に厳格で、兵庫県産の但馬牛の中でも、歩留等級や肉質等級の数値をクリアした選りすぐりだけがその名を許されます。
(出典:神戸肉流通推進協議会「神戸ビーフの定義」)
松阪牛の値段は平均していくらですか?
松阪牛の値段は、実はピンからキリまであるのが特徴です。これは松阪牛の定義に、神戸牛のような厳しい「肉質等級(ランク)」の制限がないことが関係しています。
「えっ、松阪牛なら全部A5ランクじゃないの?」と思った方もいるかもしれませんが、実は違うんです。松阪牛の定義で重視されるのは、黒毛和種の未経産雌牛であることや、松阪牛生産地域での肥育期間といった「プロセス」の部分。肉質の等級(A5やA4など)による足切りはありません。
もちろんA5ランクの最高級品は目が飛び出るほど高いですが、中にはA4ランクやそれ以下の等級でも、条件さえ満たしていれば「松阪牛」として販売されます。そのため、スーパーや通販などで「あれ?意外と安い?」と思うような松阪牛を見かけることがあるかもしれません。
| ブランド | 価格の傾向 | 特徴 |
|---|---|---|
| 松阪牛 | 幅広い | ピンからキリまであるが、トップオブトップは超高額 |
| 神戸牛 | 高値安定 | 厳しい基準があるため、最低価格ラインが高い |
近江牛と神戸牛どっちが高いか比較
ここで、同じ「日本三大和牛」の一つである近江牛とも比べてみましょう。一般的に、近江牛は松阪牛や神戸牛に比べると、少しリーズナブルな価格設定になっていることが多いですね。
近江牛は日本で最も歴史のあるブランド牛の一つで、生産量も比較的多いんです。そのため、圧倒的なコストパフォーマンスの良さが魅力。味は間違いなく超一級品ですが、ブランド代としての上乗せが松阪・神戸ほど過熱していない分、個人的には「お得に美味しい和牛を食べるなら近江牛」という選択肢も大いにアリだと思います。
特に、滋賀県の地元精肉店などが運営している通販サイトなどを見ると、驚くほど良心的な価格でA5ランクの近江牛が手に入ることがあります。ブランド名よりも「実質的な肉の味」を重視する方には、近江牛はかなり狙い目ですよ。
松阪牛は未経産雌牛のため生産コスト増
松阪牛が高価になる構造的な理由の一つに、「未経産の雌牛(子供を産んでいないメス牛)」に限っているという点があります。
メス牛はオス牛(去勢牛)に比べて体が小さく、一頭から取れるお肉の量が少ないんです。同じ手間暇をかけて育てても、商品になる量が少なければ、当然100gあたりの単価は高くなってしまいますよね。
さらに、松阪牛の中でも特に評価の高い「特産松阪牛」などは、通常よりも長い900日以上の肥育期間を設けることがあります。長く飼えばそれだけ餌代も人件費もかかりますし、病気のリスクも増えます。この「こだわりの生産コスト」と「リスク」が、価格に反映されているというわけです。
松阪牛と神戸牛どっちが高いか知って選ぶ

価格の仕組みが分かったところで、次は「味」や「選び方」に注目してみましょう。高いお金を出すなら、自分の好みにドンピシャな方を選びたいですよね。それぞれの特徴を知れば、失敗しないお肉選びができますよ。
脂肪融点の違いが決め手となる美味しさ
私が個人的に一番違いを感じるのは、「脂の溶け方」です。これが味の決め手と言っても過言ではありません。
松阪牛の最大の特徴は、脂肪の融点(脂が溶け出す温度)が極端に低いこと。一般的な和牛の脂が25℃くらいで溶けるのに対し、松阪牛は17℃前後、すごい個体だと13℃〜14℃で溶け始めると言われています。
人間の体温は36℃くらいですから、口に入れた瞬間にサッと脂が溶けて、濃厚な香りが広がるんです。「お肉の香水を食べているみたい」なんて表現されることもありますね。脂っこいのが苦手な方でも、松阪牛なら胃もたれせずに食べられた、という話をよく聞くのはこのためです。不飽和脂肪酸が多く含まれている証拠でもあります。
味のポイント
松阪牛の脂は「サラサラ」としていて、口の中で瞬間的に溶けるため、くどさを感じにくいのが特徴です。
近江牛と神戸牛どっちが美味しいか特徴
では、神戸牛や近江牛はどうでしょうか。神戸牛は、サシ(脂)の甘みだけでなく、赤身部分の旨味が非常に濃いのが特徴だと思います。ルーツである但馬牛の筋肉質な肉質がベースにあるので、「肉を食べている!」という満足感と、上品な霜降りのバランスが絶妙なんです。
近江牛も非常にバランスが良く、脂の甘みがありながらもしつこくない、誰からも愛される優等生的な美味しさがあります。もし「どれが一番美味しいか」と聞かれたら、正直「好みによる」としか言えませんが、私の感覚では以下のようなイメージで使い分けるのがおすすめです。
| ブランド | 味のイメージ | おすすめ料理 |
|---|---|---|
| 松阪牛 | 香りと口溶け重視。 割り下と絡む濃厚さ。 | すき焼き、しゃぶしゃぶ |
| 神戸牛 | 甘みと旨味のバランス。 表面を焼いた香ばしさ。 | ステーキ、鉄板焼き |
| 近江牛 | 芳醇な香りと柔らかさ。 繊細な肉質。 | すき焼き、ローストビーフ |
ギフトは松阪牛を選び海外客には神戸牛

贈り物や接待で選ぶなら、相手によって使い分けるのが「通」な選び方かなと思います。
例えば、お世話になった日本の方への特別なギフトなら、「肉の芸術品」と呼ばれる松阪牛がおすすめ。桐箱に入った松阪牛のインパクトは絶大ですし、「日本一の肉を贈る」という気持ちが伝わりやすいですよね。特にご年配の方には、「松阪牛=最高級」というイメージが強く定着しています。
一方で、海外からのゲストをおもてなしする場合や、国際的な知名度を重視するなら、「Kobe Beef」として世界的に有名な神戸牛を選ぶと喜ばれる確率が高いです。海外の方にとって、神戸牛は憧れのブランド。「Kobe Beefを食べた!」という体験自体が、素晴らしいお土産話になりますからね。
注意点
どちらも高価なものなので、通販で購入する際は必ず「個体識別番号」が表示されている信頼できるお店を選びましょう。安すぎる商品には注意が必要です。
ふるさと納税で松阪牛や神戸牛をお得に購入
ここまで読んで「食べてみたいけど、やっぱり高くて手が出ない…」と思った方もいるかもしれません。そんな方に私が全力でおすすめしたいのが、ふるさと納税の活用です。
実は、松阪牛の産地である三重県松阪市や、神戸牛の産地である兵庫県の自治体に寄付をすると、返礼品としてこれらのお肉をもらうことができます。
ご存知の通り、ふるさと納税は寄付額のうち2,000円を超える部分が所得税や住民税から控除される仕組み(上限あり)。つまり、実質2,000円の自己負担で、数万円クラスのブランド牛が手に入るチャンスなんて、使わない手はないですよね。
狙い目の部位はこれ!
特に狙い目なのは、ステーキよりも少し手頃な「切り落とし」や「すき焼き用」のお肉です。これなら寄付金額も1万円〜2万円程度で済むことが多く、家庭で最高級の味を楽しめます。「切り落とし」といってもブランド牛ですから、牛丼や肉じゃがにすれば、いつもの食卓が料亭の味に早変わりしますよ。
【ふるさと納税】 松阪牛 すき焼き ( モモ・バラ・カタ ) 高級 国産 霜降り
【ふるさと納税】神戸牛 訳あり 焼肉用 1kg / 2kg A5 ランク
松阪牛と神戸牛どっちが高いかまとめ
結局のところ、「松阪牛と神戸牛どっちが高い?」という問いへの答えは、「最高値の松阪牛、平均値の神戸牛」というのが結論になります。
一頭買いのオークションなどで飛び抜けた価格がつくのは松阪牛ですが、厳しい審査基準によって市場価格が底上げされているのは神戸牛です。ただ、私たちがお店で食べるステーキ肉のレベルでは、価格差はそこまで大きくありません。
どちらも日本が誇る素晴らしい牛肉であることに変わりはありません。お祝い事ならとろけるような松阪牛のすき焼き、自分へのご褒美なら赤身の旨味も感じる神戸牛のステーキ、といった具合に、シーンや好みに合わせて選んでみてはいかがでしょうか。

